第4回OMSプロデュース

1999年4月3日(月) 愛知県芸術劇場 小ホール(名古屋)

松本ハウスのキックさんが客演した舞台「ここからは遠い国」@名古屋を観に行ってきました。こちらは東京公演のレポ

<こちらのレポートは死ぬほど長いので覚悟して先に読み進んでください。面倒な人は東京公演の方のレポを読んでくださいね。>

今回は中3の姪っ子と一緒に出かけました。東京公演は3列目でかなり見にくかったんだけど今回さらに見にくい席。一列目中央、ってオイ・・・。ライブならまだしも芝居で一列目って嬉しくなーい。こんな所でチケット運を使いたくなかったぁ。案の定、軽トラックの中はほとんど見えない。まぁ2回目だからヨシとしよう・・・。前回思った事、わからなかった事、気になった事をじっくり観よう。

この舞台はオウム(レポの中ではイニシャルで表記)の一連の事件が出てくるんですが、そのことについては簡単に言葉にしてしまいたくないと思っています。私は当事者ではないし、事件についてそれほど知っているわけではないので、オウムという団体や実際の一連の事件について、偏った考えをなるべく出さないようにしたいと思います。

あらすじ>>>小さな工務店を営む父、家事や家業の雑事を切り盛りしている長女、O教団を脱会して家に帰ってきたもの現実に戻りきれずガレージの軽トラックの中で寝起きする長男ヨシマサ、献身的に兄の世話を続ける次女、天真爛漫な三女、そして亡くなってしまった後も家族のそばで見守り続ける母。
オウムの事件、そしてシェイクスピアの「ハムレット」とチェーホフの「三姉妹」を題材にし家族の物語が繰り広げられていく。

70年代フォークらしきものがずっと流れていて、時間になり「たどりついたらいつも雨ふり」に変わりました。それまでは低く流れていたのがボリュームが上がり会場中が音で満たされました。それが「夢の中へ」に変わるとO教団の面々が出て来て踊り出しました。う〜ん、迫力満点。(^_^;) 白いサマナ服にベージュの上着を羽織ったヨシマサ(キックさん)も出て来て軽トラックの助手席に乗り込んだ。音楽に合わせて体を揺らし、恍惚の表情を浮かべるその様はまさに「夢の中」を漂っているようだった。運転していたO信者カネミツが「何かにぶつかった」と言い、車を停めて点検し出すがヨシマサは酔っているようだった。「なぁにぃ〜??ぶつかったぁ〜??オレ気づかへんかったで!はよ行こやぁ」と、明るく妙にハイテンションで、会話にならない。どうやら何か薬を飲んでいるようだった。車が故障してしまい困った二人は「・・・ところで俺ら、何運んでるんだ?」と不安にかられた。「とりあえず戻らないと・・・。」「・・・帰る場所、他にないしな・・・。」と呆然としていると、関西弁のイントネーションで「おかえり」という女の人の声が聞こえた。「絶対どちらかは車から離れるな!」と言われていたため(ダレカラ?)カネミツはヨシマサを残し電話をかけに行ってしまう。残されたヨシマサは不安にかられ軽トラックの荷台の積み荷を確かめようとすると、青いシートの下から母親が現れる。「お前誰や !マスコミの人間やろ!青山の事務所から着いてきたんか!」と言うヨシマサに「何ゆうてんの。私や!おかえりなさい。」と言うその声の主はお母さんだった。「あんたここにおるわけないんや!病院にいるはずや!」と言うヨシマサ。
ヨシマサは「荷物を運ぶ途中で山の中で迷った」と言う。いるはずの無い母は「ここはうちのガレージや。動かなくなっておきっぱなしにしてる車の中や」と言う。イッタイソコハドコナンダロウ??夢と現実の境目なんだろうか。あちら側とこちら側の境目だろうか。母と話すうちに寝入ってしまうヨシマサ・・・。
カネミツが戻ってくると荷台に乗っていたのは母じゃなく得体の知れない遺体になっていた。「掘れ!深く埋めろ!!」というカネミツ・・・。この辺りはいろんな次元のいろんな事象が交錯している感じだった。いろんな事件を抽象的に混ぜた感じで。 起こされても眠り続けるヨシマサだった。

「春夏秋冬」(By泉谷しげる)とともに周りにかけられていた布が取り払われ、ガレージの中に場面転換した。毛布を被って車内で寝入るヨシマサ。軽トラックの中の様子を探るようにやってくる父は、中に閉じこもっているヨシマサに直接話し掛けることができず、誰とも無しに話し掛けるように言葉をかける。腫れ物に触るような感じでしか接する事が出来ないでいた。息子がこんな風になってしまった事への不可解さと不甲斐なさがそうさせるのか・・・。
長女はそんな父の態度や、いつまでも閉じこもっている弟の態度に苛立っている様子だった。そこにバイト従業員の日向(ひなた)君が来た。頭にタオルを巻いてメガネをかけた日向君は大川総裁に似ていたというのは友人の弁。確かに。(笑)
そこにこっそり現われずけずけと入り込んでくる公安の捜査官。嗅ぎまわるイヌ。調子いい関西弁が鼻につく。
次女はヨシマサの理解者という感じ。兄に対しては決して無理をさせようとかせずに、いたわり続けていた。自分自身何か痛みを抱えているようで、世話をする事で何かから逃げ、心の中で兄に依存しているような気がした。
大学生で演劇サークルに所属する三女はそんな問題とは無関係なスタンスにいて、天真爛漫な態度を示している。
昔の自分は三女のような感じだった(実際に三女だから、だろう)と思うが、今の自分は次女の気持ちが一番近いような気がする。

そこまでの状況は出勤していく父、学校へと出かける三女、と朝の情景だったが突然場面が夜中になってしまった。ちゃんと切り替わるわけではなく、隠れていたカネミツ(仲間の信者)が現れ「何言ってるんだ、もう夜中じゃないか」というセリフで切り替えられてしまった。ヨシマサ同様、見てる方もついていくのが大変だった。「揺れてるヤツのそばにはいたくないんだ!」と教団に戻ろうとするカネミツ。「ここは天国じゃないか!今まではもっとしんどいとこにいたんだ・・・」というヨシマサ。う〜ん。
再び現れる母。「あんたはもう死んだんだ!」というヨシマサ。お母さんは自分が死んだ事に気付いてないらしい。そして何故かカネミツにも母の幻がちゃんと見える。修業の成果が出ている、らしい。母の幻と、ヨシマサに別れを告げ駆け出していくカネミツ。盗聴機を発見し、「カネミツ、待てーーーー!全部聞かれてるぞーーー!」と追いかけるヨシマサ・・・。
死んだはずの母だけが残るガレージに父が入ってくる。「ヨシマサ〜?いないのか〜?」といいつつ「あいつに後継がせて、10年仕込んで、後は任せて楽しようと思ってたのに。いい夢見過ぎたなぁ・・・」とつぶやく父。「育て方間違えたかなぁ・・・。」

と、そこにガレージのシャッターを開けて入って来る三女とその友人。ここでまた場面が変わってしまった。父にとっては土曜日の夜中だったんだけど、日曜の昼間になってしまったらしい。この「時間のパズル」は一回見ただけじゃわかんないよ。今回は2回目だから何とかついていけたけど・・・。
三女の友人は調子のいいタイプの子(ユキちゃん)と、何でもマジメに考え過ぎちゃって周りと噛み合わない子(カオリちゃん)の二人だったんだけど、このカオリちゃんがすごかった・・・。ヨシマサに貸した「シェークスピア」の本の持ち主で、本の角が折ってあった事が許せない神経質なタイプで、ヨシマサに向かって説教をする傍若無人さを持ち、知識に振り回される頭でっかちなタイプ・・・。(ああ、なんだか書いていて痛くなってきた・・・。自分の中にもある性質だから・・・)そんなカオリちゃんを持て余す周囲の人間たち。ヨシマサも苛立ち、三女に向かって「この人、俺に向かってなんか言うてるで!!」と言い放つ。




(かなり不本意なんですが、なかなか書き進まないのでとりあえずこの時点でアップします)

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